ochan552006-09-19

『「正しい戦争」は本当にあるのか』

  • 著者: 藤原 帰一
  • 出版社/メーカー: ロッキング・オン (2003/12/3)
  • メディア: 単行本
  • おーちゃんお勧め度: ★★★★☆
  • 感想: 分類的に、これはエッセイじゃなくて対談か? 政治ってよくわからないなあ、とおもっていたのだけど国と国との関係、国際政治がとってもわかりやすく書かれてました。対談形式なので、途中で考えを言い換えたりまとめてくれたりしてるところがまたよいとおもう。「そういうことだったのか・・・も!?」と自分に問いかけつつ読める本。
     以下、記憶にとどめておきたい部分を引用。
     『平和を唱えるのが理想主義で、戦争が現実なんだっていうニ文法は必ずしも正確じゃないんですよ。現実に向かうと戦争を肯定する、現実から離れるとハト派になるって、そんなバカなことじゃない。現実の分析っていうのは、目の前の現象をていねいに見て、どんな手が打てるのかを考えることです。そのとき、すぐ兵隊を送るのは短絡的です。伝統的な外交というのは、武器を手段としながら、外交交渉、悪く言えばボス交渉と談合によって自分に有利な条件を獲得するってそういう取引でしょ。だけど、原則として平和を揚げて国際政治を見てきた人たちってのは、今度は国際関係の力の現実とかいうものにぶつかると、なんというか教条主義的な平和主義者、あるいは教条主義的な戦争主義者になっちゃうみたいです。今の日本で起こっているのはそういう状況でしょう。だけどそれは事実に即していないんです。
     一言いっておきたいんですけど、平和って、理想とか何とかじゃないんです。平和は青年の若々しい理想だと僕は思わない。暴力でガツンとやれば何とかなるっていうのが若者の理想なんですよ。そして、そんな思い上がった過信じゃなく、汚い取引や談合を繰り返すことで保たれるのが平和。この方がみんなにとって結局いい結論になるんだよ、年若い君にとっては納得できないだろうけどもっていう、打算に満ちた老人の知恵みたいなものなんです。そういうことをね、伝えていきたいんです。』